しゃむ

2019年から夫婦2人でタイに移住!日々考えていることを気ままに綴ります。

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【解説】AQI(大気質指数)とは?国ごとに違う?【PM2.5】

こんにちは。だいきちです。最近、バンコクではPM2.5による大気汚染の影響がひどく、さすがに外に出ないほうが良いのではないか、、、という日が続いていますね。目視でみても空気が白くなっている日も多いもの、本来PM2.5は目で見える大きさの粒子ではないため、白く見えるのはそれより大きな別の粒子になります。*1

人間の目で見えない粒子の量(濃度)の状態をしるために、多くのセンサーが町中に配置されています。そのデータを見るためのサービスはいくつもありますし、空気清浄機にも表示されていますね。そこで多く使わているAQI (Air Quality Index) という指標がありますが、この数値をどのように理解すると良いのでしょうか?

何となく緑・黄色・赤のような色で表示されている事が多いので直感的に良い・悪いのは理解できますが、あまりにも悪い日が続くと「どれくらいの状態なら大丈夫なの?」という疑問が湧いてきますよね。

また、タイで暮らしながら様々なリアルタイムAQI表示サービスを試していると、「同じ日なのに、サービスごとに黄色だったり、赤だったり違うんだけど?どっちが本当なの?」という事態に陥ってしまう方もいるのではないでしょうか。さらには、国によってはAir Pollution Index大気汚染指数)とよんでみたり、名称もイマイチ定まりません。今回は、このような疑問に対してAQIの定義や理解の仕方を解説していきます。

AQIとは

AQIとはAir Quality Indexと呼ばれる大気汚染の状況を示す指数です。もっとも良く参照されているのは、アメリカ合衆国環境保護庁 (Environmental Protection Agency, EPA) にて定義された算出方法による数値ではないでしょうか。

AQIに影響を及ぼす空気中の物質はPM2.5だけではなく、6種類の物質が影響してきます。

  • PM2.5(粒子径2.5μm以下の浮遊粒子)
  • PM10(粒子径10.0μm以下の浮遊粒子)
  • 一酸化炭素(CO)
  • 二酸化硫黄(SO2)
  • 二酸化窒素(NO2)
  • オゾン(O3)

重要なポイントとして、AIQはあくまで人間への影響度を評価した指数であって、特定の物理量ではないというポイントです。

定義

では、「人間への影響度を評価した指数」というのは、どうとらえると良いのでしょうか。AQIの定義は、健康への影響度に応じて0から500の数値へ恣意的に振り分けたものとなります。

AQI一覧表

aqicn.org

こちらの表からわかるとおり、0-50は特に問題なし。51-100は敏感な方には小さな影響があるかもしれない。100以上は敏感な方へもそうではない方へも徐々に影響が大きくなっていきます。

EPAにおいても、100以下であれば国・政府としてまずまず我慢できる範囲の水準としています。 www.airnow.gov

この表では「AQIという指標(数値)をこういう値に決めたからね」という決め事をまとめているだけで、具体的に実際の空気状態をどのようにAQIへ換算するかは何も述べていません。また、私の調べた限りでは、このAQIの定義は国ごとの違いはなさそうです。では、定義が同じならば、何が国ごとにことなるのでしょうか。

より具体的な健康への影響はサミティヴェート病院の記事が参考になりそうです。 samitivej-jp.com

国ごとの違い

先程の表に、少し情報が追加された表となります。

米国・中国でのAQIの違い

www.cn.emb-japan.go.jp

追加された情報は「PM2.5濃度」という2つの列になります。このPM2.5濃度は[mg/m3]という単位が記載されているため「1m3あたりに含まれるPM2.5の質量(mg)」ということであり、世界共通の物理基準です。アメリカ基準で測っても、中国基準で測っても同じ数値となります。

しかし、よく見ると各AQI数値(色)に対応する、PM2.5濃度が中国と米国でことなります。これは、「同じAQIの値でも物理的なPM2.5の量がそれぞれの基準でことなる」ということになります。

例えば、ある日のPM2.5の濃度が0.1 [mg/m3]だった場合、中国基準のAQIではオレンジ色だけれども、アメリカ基準のAQIでは赤色になることになります。これは、AQIまではあくまで健康指標でしかなく、その影響度をどのように解釈するかによってAQI値は変化してきます。

この表を素直に読み取ると、中国で暮らす場合はアメリカで暮らす場合よりも大気汚染に対して身体が強くなるようです。もちろんそんなことはないのですが。ただし、場所によって大気の状態は当然ながら異なるため、この差だけでの解釈は難しいです。

タイの場合

タイでは、以前独自基準をもっていたようなのですが、参照されているURLがリンク切れになっていることもあり、既にこちらは廃止したのかもしれません。

aqicn.org

ためしに、バンコク都が発表している数値を確認すると、AQIではなく[μg/m3]と記載されているので物理量が表示されています。一方で、左側でVery good quality, Good quality, Medium, Began to affect health, Affecting healthとしてAQIによる状態分類を示しています。 細かくみていくと、若干上記表と異なるAQI計算式にみえますが、概ねアメリカ基準と一致しているように見えます。

bangkokairquality.com

全体のAQIとPM2.5のAQIは必ずしも一致しない

冒頭でAQIはいくつかの要素にて計算される旨をお伝えしました。細かくお伝えすると、各要素ごとにAQIを計算することができます。

つまり、PM2.5のAQI、PM10のAQI、一酸化炭素のAQIというようにバラバラに計算されます。そのうえで、その場所のAQIとしてまとめる場合に、私の調べた範囲では最も悪いAQI(値が高い)を全体のAQIとして使われるケースが多いようです。

そのため、PM2.5が低くとも、他の要素のAQIが高いため、全体のAQIも高くなるということも起こりえます。AQIを確認する際には、どの値が高いかも含めて注目されると良いかもしれません。

*1:もちろん傾向としては大きな粒子が多いときはPM2.5も同様に多いでしょうから、参考程度にはなるはずです